いつか王子様が。
子供の頃、寝る前に母が読んでくれたおとぎ話が大好きだった。
どの話のプリンセスにも共通するのは、兼ね備えた美しさと、色鮮やかなドレス、煌びやかな装飾品、そして何よりも、最後は必ずハッピーエンド。
必ずといってよいほど、お姫様を迎えにく王子様が現れるのだ。
「こうして二人は幸せになりましたとさ。めでたしめでたし。」そう締め括られた話に、随分と憧れたものである。
憧れるのと同時に、その様な幸せが大人になれば自然と叶うと思っていたのだ。
運命の人は必ずいるのだと、いつかきっとどこかで巡り会えるのだと。
信じて疑わなかったあの頃に戻りたいと、思い悩んだものだ。
そんな夢見がちな少女は、すくすくと成長していき。
気づけば、26歳を迎えていた。