生い立ち 2
小学生高学年の頃だろうか。
父と母の喧嘩はいつものことだったが、少しずつ何かが違ってきていた。
回数が増え、母は泣きヒステリーを起こし、父は事あるごとへパチンコへ。
自慢ではないが、私は空気を読むこと、とっさに仲裁をもつ能力に長けている。
思えば、この子供時代に身についたスキルではないだろうか。
顔を合わせるごとに勃発する二人の喧嘩に、小学生の私は内心いつもヒヤヒヤしていた。
声色、空気、表情。喧嘩になりそうなときは、二人が笑うような冗談を言ってみたりして。
場を和まそうと必死だったんだと思う。
それでも繰り返される喧嘩に、うまく場を取り持てない自分が悪いのだと、何度も自分を責めてしまった。
私がもう少し大人なら
私がもう少し利口なら
この頃から、自分を責める癖がついた。
後にこの癖が自分を苦しめることになるのだが。
そうするしかなかった。
いくら頑張っても、二人は喧嘩ばかり。
報われない。
私のことで喧嘩してる、私が良い子になればきっと収まるはずなのに。
まだ足りない。
きっと自分がダメな子だから
気がつけば、母は趣味にのめり込み、父は変わらずパチンコ。
二人は顔を合わせる時間を減らすようになっていた。